2020.8.5
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テニスメディカルトレーニングラボ
テニスメディカルトレーニングラボ(以下:TMTL)では、
テニス選手に必要なトレーニングや怪我等の情報を中心に、
分かりやすくお届けしています!!
TMTLとは?
TMTLでは、テニスコーチでありアスレティックトレーナーでもある筆者が、テニス情報を発信しています。医学的に裏付けられた情報だけでなく、経験談や主観的意見等も発信しています。
TMTLの特徴
テニスのみならずアスリートがその道で戦い、勝つ為には、技術練習だけでは不十分です。テニス界ではトッププロに限られますが、様々な専門家を“チーム”として招聘しています。主な役割として、技術スキルや全般的に選手をサポートし管理するコーチ。フィジカルトレーニングを主に担当するストレングス&コンディショニングトレーナー。ドクター。怪我や日々のコンディショニングをサポートする、アスレティックトレーナーックトレーナーや治療家。加えて、栄養士やメンタルトレーナーを付ける選手も増えてきています。さらに、テニスにおいては情報分析するアナリスト。道具も大きな要素ですから、スポーツメーカーやストリンガー。などなどサポートする専門家は多岐に渡ります。
TMTLでは、主にフィジカルトレーニングや怪我のサポートを中心にまとめています。またテニススキルに関しては、コーチ目線だけでなく、トレーナー、すなわち“身体の使い方”目線からテニススキルを紐解いていきます。
2020.8.5
テニスのみならず、あらゆるスポーツ分野でより成長する為には、反復練習に代表される、長い練習時間が必要とされる。それでは、一日何時間練習すれば良いのか?!週何日練習すれば良いのか?!毎日何時間も練習してます!!これは、アスリートとして鏡となる事なのか?!
今現在の私のスケジュールは、朝から夕方まで、アスレティックトレーナーとして働き、夕方から夜は、テニスコーチだ。アスレティックトレーナーとして、トレーニングを担当すると同時に、怪我のケアもする。怪我の発生原因はそれぞれだが、その中でも多くの発生原因となるのが「オーバーユーズ」だ。要は、練習・試合が多すぎて、身体がそれに耐えきれず、組織が破壊され、怪我となる。皮肉にも、自身が一生懸命取り組んできたスポーツが原因で怪我をしてしまう。
テニスコーチとして、ジュニア達と接していれば、これを改善させたい。あれを改善させたい。そう考えると、もっとレッスンの時間を長くするべきか?!コーチを増員し、よりジュニア達が多くのアドバイスを受ける事ができ、レベルの高いコーチ達とヒッティングさせたい。そういう感情に襲われる。ジュニア達自身も、もっともっと強くなりたい一心で、レッスン中一生懸命練習し、加えて、レッスンの前にはなるべく早くコートに来て、自主練。レッスン後も、自主練。選手として、もっと強くなりたい気持ちからの行動である。
しかし、オーバーユーズで悩む選手を見る傍ら、目の前で成長期段階中のジュニア達が、毎日たくさん練習をする。果たして、この状況はいかがなものか?
話が変わるが、長い時間働く事は、社会人としてどう評価されるべきか?!もちろん全てではないが、仕事=利益を出す事。仮に同じ利益を、一日8時間と3時間で出す社会人がいたら、当然3時間で利益を出す社会人が有能とされる。要は、「生産性」である。3時間で利益を出せば、残った5時間を自身のリフレッシュや、他の仕事をする時間に充てられる。
アスリートはしばし、たくさん練習した事=自信、にする事がある。それは必ずしも否定される事ではないが、長い時間の練習は怪我のリスクを上げる行為だ。極論、なるべく短い時間で、技術の習得が出来れば、怪我のリスクも下がり、試合にも勝てるようになる。
一見夢のような話だが、これを実現する為に必要な事が「考える」事だ!!100球打つ事を良しとするのではなく、「自分の今の課題は?」「何が出来なくて、ミスに繋がっている?」「コーチに普段、何を指摘されている?」「同じ種類のミスを、2球連続しないようする」。例えばこのような事を考えながら、50球打つ選手と、ただ、「頑張って練習し、たくさんボールを打つんだ!!」と100球打つ選手。果たして、どちらが上達する?!
長い時間の練習は、選手に「これだけやったんだから」という自信を生む事は現場感でも分かる。しかし、アスレティックトレーナーとしては、それが原因で怪我に苦しむ選手も、多々見てきた。
日々の練習で、自身のプレー、姿勢や打ち方、身体の使い方を意識しながら、文字通り一球一球集中力をフルに使ってボールを打っているか?!それを自身に問いてもらいたい。
とにかくたくさん練習するんだ!!それは無策の行為であり、身体を過度に疲弊させ、果たして技術が身につくのか、疑問である行為だ。極論に聞こえるかもしれないが、アスレティックトレーナーとテニスコーチの二足の草鞋を履いている私にとって、自身に常に問いただしている事だ。
テニスコートに立てば、ジュニア達は私やアシスタントコーチ達の言葉を聞いて、一生懸命練習をしてくれる。だからこそ、一言一言伝えるアドバイスも慎重になる。たくさん練習する事で、つかみ取る感覚がある事はもちろん分かるし、現実起こる。しかし、同時に怪我を患うジュニア達を生んでしまう事もある。
これは精神論ではない。論理的に、まだまだ成長期段階=体が出来上がっていないジュニア選手達に、最短の練習時間で、彼らの最高のパフォーマンスを出させる責任が指導者にはある。ジュニア達には、たくさん練習する事=必ずしも良い事ではない。という事を伝えたい。身体を作り上げる事。所謂、トレーニング。バーンアウトという訳ではないが、たまにはテニス以外のスポーツを取り組む事で、心のリフレッシュや、テニス以外の身体の使い方を学ぶ事で、逆にテニスに繋がる事もある。
理想は怪我をせずに、ジュニア達のベストパフォーマンスを発揮させることだ。長い時間の練習!!ではなく、練習の質。頭を使う事。意識。身体作り。休息の重要性。心のリフレッシュ。これらがバランスよくマッチする事で、ジュニア達の真の成長があるのだと、思っています。