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受傷後のリハビリ開始のタイミング
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 怪我をした後、リハビリはいつ始めるべきなのか?!理想としては、怪我をしたその日からリハビリを開始するべきです。しかしながら、いくつかの注意点があるので、まずはそこから説明させていただきます。

 受傷後に、ドクターや治療家の先生から「安静にしてください」。この指示が出た場合は、リハビリを開始しては行けない場合があります。受傷個所が動いてしまったり、負荷がかかってしまうことで、怪我を悪化させてしまう事があるからです。また、リハビリが無理な状態にも関わらずリハビリを行えば、二次的損傷(本来怪我をしていない箇所を損傷してしまう事・さらなる怪我の悪化)の恐れもあります。あくまでリハビリを開始してよい前提に、ドクターや治療家の先生の指示の下、という事が必須になります!!

 そもそも、リハビリはなぜ必要なのか?!怪我を何も患っていない状態を仮に「0(ゼロ)」とします。ケガを患ったことで、ゼロの状態がマイナスになります。仮に受傷後の状態を「-5」とした場合、安静時期が長ければ長いほど、筋力や柔軟性・持久力、バランスや各々の運動感覚が失われていき、状態が「-10」や「-20」といった具合になります。この怪我による状態の「マイナス部分」を「ゼロ」に戻すことがリハビリの役割です。ちなみに、ゼロからプラスにする為に行うのが「トレーニング」といえます。

 必ず覚えてほしいことが、大なり小なり怪我を患った場合、状態は「マイナス」になるという事です。例えば、捻挫や肉離れ、テニス選手によくみられる怪我。安静にし、炎症や痛みが治まれば、「治った」と思い、そのままテニス復帰をしてしまう。しかし、前述した通り、大なり小なり怪我を患った場合、「状態はマイナス」になります。痛みや腫れなどの症状は治まっても、状態がマイナスのままテニス復帰すれば、怪我の再発や、その他部位の受傷リスクを上げてしまいます。怪我を患わなくとも、状態がマイナスであれば、必ずパフォーマンスに悪影響を及ぼします。当たり前のことを言いますが、受傷後のリハビリは必須です。特にテニスをするとなれば、尚の事状態を元に戻すことが大事と言えます。

 受傷による状態のマイナス要素は多々ありますが、一番影響を受けると言えるのが「筋力」です。日々のテニスやトレーニングの成果で、皆様の筋力は保たれています。これが、怪我を理由に止まった場合、筋力低下が始まります。受傷個所が治癒する前に、受傷個所に過度な刺激を与え、怪我を悪化させることを防がなければならないことは当然です。しかしながら、怪我を悪化させないリハビリメニューであれば、すぐにでも開始できます。これが冒頭「怪我をしたその日からリハビリを開始するべき」と記した所以です。筋力は確実に数日以内に低下傾向に入ります。例え、安静期間が1週間くらいなら大丈夫であろう。と思っている人もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。そして、筋力が下がる事は早く、上げる為には相応の時間がかかります。その為、できる限り早くリハビリを始めるべきなのです。例えば、足首の捻挫。足首の固定をしっかりと行い、専門家が指導したリハビリメニューであれば、少なからず体幹や上半身のリハビリは直ぐに行えます。

 「安静」という意味を「何もしない事」と捉えるべきではないのです。もちろん、何もしてはいけない状態もあります。「安静」とは「怪我の状態を悪化させてはいけない」と解釈する事もあるという事です。しかしながら、怪我の種類や状態、受傷した選手のフィジカルレベル等々、様々な要因で、何をして良い・悪いが変わります。決して、自己流でリハビリを始めないでください!!必ず、専門家の指導の下行ってください。

筆者情報

プロテニストレーナー&テニスコーチ

菅尾 祐助

小学生からテニスを始める。高校卒業後渡米し、アスレティックトレーニングを学ぶ。帰国後、菅尾アスレティックトレーニングセンター(S.A.T.C)を設立し、アスリートやスポーツ愛好家の怪我やリハビリ、トレーニング、コンディショニング等をサポート。また、はちおうじ庭球塾(八王子テニススクール)にて、ジュニア育成に従事。

怪我やトレーニング、テニスサポートのご相談はS.A.T.Cまで。
ジュニア育成は、はちおうじ庭球塾まで。
お問い合わせはこちらから。

(株)S.AT.C 代表取締役
テニスメディカルトレーニングラボ(TMTL) 代表
はちおうじ庭球塾 塾長
特定非営利活動法人スポーツライフネットワーク 代表理事
鈴木慶やすらぎクリニック アスレティックトレーナー
境界なきアスリートサポート 共同代表

米国公認アスレティックトレーナー (NATA-ATC)
米国公認ストレングスコンディショニングスペシャリスト (NSCA-CSCS)
インターナショナルテニスパフォーマンス協会公認
テニスパフォーマンススペシャリスト (ITPA-CTPS)
アメリカプロテニス協会公認 プロフェッショナルテニスコーチ
アスレティックトレーニング修士 (MS)

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