2020.1.14
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テニスメディカルトレーニングラボ
テニスメディカルトレーニングラボ(以下:TMTL)では、
テニス選手に必要なトレーニングや怪我等の情報を中心に、
分かりやすくお届けしています!!
TMTLとは?
TMTLでは、テニスコーチでありアスレティックトレーナーでもある筆者が、テニス情報を発信しています。医学的に裏付けられた情報だけでなく、経験談や主観的意見等も発信しています。
TMTLの特徴
テニスのみならずアスリートがその道で戦い、勝つ為には、技術練習だけでは不十分です。テニス界ではトッププロに限られますが、様々な専門家を“チーム”として招聘しています。主な役割として、技術スキルや全般的に選手をサポートし管理するコーチ。フィジカルトレーニングを主に担当するストレングス&コンディショニングトレーナー。ドクター。怪我や日々のコンディショニングをサポートする、アスレティックトレーナーックトレーナーや治療家。加えて、栄養士やメンタルトレーナーを付ける選手も増えてきています。さらに、テニスにおいては情報分析するアナリスト。道具も大きな要素ですから、スポーツメーカーやストリンガー。などなどサポートする専門家は多岐に渡ります。
TMTLでは、主にフィジカルトレーニングや怪我のサポートを中心にまとめています。またテニススキルに関しては、コーチ目線だけでなく、トレーナー、すなわち“身体の使い方”目線からテニススキルを紐解いていきます。
2020.1.14
「最近、腕の筋肉が張って、テニスをすると痛い。だけど、しばらくしたら痛みがなくなったから治りました」。このような話をよく聞きます。果たしてこれは怪我だったのでしょうか?!そして、問題ない考え・行動でしょうか?!
頭が痛くて、病院に行ったとしましょう。先生に「頭が痛いです」と伝えても、先生は「それは病気です。」とは言いません。これは病気ではなく、症状です。腕の筋肉が張って痛かったのも、怪我ではなく症状です。
症状とは、病気や怪我によって起こる身体の状態変化(異変)です。身体に何も問題がなければ痛くもないし、かゆくもありません。よって、症状は身体から発せられる異常事態の信号と言えます。「腕の筋肉が張って、痛かった」。これも、身体から発せられた異常信号、即ち症状です。これを多くの場合、「痛みがなくなった」=「治った」、と捉えがちです。「治った」=「問題なし」、と捉えてしまう事も多いと思います。ここで、覚えておいてほしいのが、「症状を感じたこと自体が問題」という事です。
テニスだけではありませんが、症状が出た多くの場合、何もしなくても、時間の経過と共に症状がなくなり、大きな問題になる事はありません。しかし、症状を軽視した結果、後に大きな問題になるケースもあります。アスレティックトレーナーとして活動していて、「なぜもっと早く対処しなかったのだろう」というケースに直面します。もっと早く対処していれば、ここまで大事に至らなかったというケースです。
先ほども述べたように、症状は身体から発する異常信号です。その異常信号が小さく、一度だけでは大きな問題にはなりません。しかし、その症状が出た原因が、自身のスイングフォームにあった場合どうでしょうか?!過度にグリップを厚くし、トップスピンをかける。その結果、腕(前腕:肘から手首にかけて)の筋肉が張っていたとしたら?!確かにしばらくして、張を感じなくなっても、自身の打ち方が原因だとしたら、テニスを再開し、また症状を生む。これを繰り返すことにより、腕の筋肉が慢性的に硬直。腱や関節に損傷を及ぼし、結果テニスエルボーになってしまった。こういったケースがあります。
では、どうすれば良かったのか?!最初に「腕の筋肉が張り、痛くなった」時点で、「症状がなくなったから問題でない」、ではなく、「なぜ腕が張ったのだろう?!」と、考えるべきです。特に初期症状はとても大事です。今までなかった症状が現れた場合、症状が現れる直前に行った変化/行為/状態が、症状、即ち身体に異常信号を与えた原因の可能性が高いからです。
テニスで多い例として
などが挙げられます。「雨が降りボールが重くなった」、「いつもより球威の強い選手と練習/試合をした」、などは一過性の出来事なので、一回の症状で治まる可能性があります。しかし、打ち方やラケットなどが症状の原因である場合、原因を変えない限りそのままです。要はテニスをすればするほど、身体に負担をかけている状態、と言えます。このような状態でも、練習や試合の間にオフがあれば、症状が治まる可能性があり、それを「問題ない」「治った」と解釈してしまう事があります。もしくは「時間の経過と共に治るだろう」という考え方。ここに大きな落とし穴が存在するのです。
テニスに限らず、スポーツは往々にして、通常の生活以上に身体に負担をかける行為です。スポーツに耐えうる身体を作り、しっかりケアすれば大丈夫ですが、それらをおざなりにし、ただただ自身のスポーツを邁進していると、取り返しのつかない事態になるかもしれない。そうならない為にも、
-症状と向き合う
-症状が出た原因を出来るだけ突き止める
-特に初期症状には注意する
という癖をつける事をお勧めします。
例え症状が長引いても、見て見ぬふりをして、症状がありながらもテニスを続けてしまったケースを、残念ながらよくみます。それらの要因は「テニスを休みたくない」「大事な試合がある」「練習パートナーに申し訳ない」等です。そして何より、症状の原因を特定しないまま、先に述べた「時間の経過と共に治るだろう」という考え方です。
怪我の中には、正直「治らない」「元に戻らない」ものがあります。そして、もっと早く対処していれば、「治る」怪我もあります。繰り返しになりますが、症状は身体が教えてくれる異常信号です。それを、スポーツをするのであれば、尚の事敏感に捉えるべきだと思います。取り返しのつかなくなる前に、症状が出た場合、是非一度専門家に相談してください!!