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「問題」を「問題」として捉えることができているか?!【はちおうじ庭球塾】
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 アスレティックトレーナー時代と違い、はちおうじ庭球塾を作ってコーチを務めさせていただくと、様々な事に気づかされます。はち庭では、日々の公式戦後、選手達から試合の報告をもらいます。その報告に目を通していると、試合の勝敗にかかわらず、自分自身の分析が出来ている選手と、残念ながらまだそうでない選手がいます。

 学校でのお勉強。日々行われる定期テスト。試験勉強の為、レッスンを休む時「あぁ、テスト嫌!!」と訴える選手達(学校の先生方、すみません)。学校の定期試験は基本、授業で教わった事がしっかり理解できていますか?という意味合いで行われます。それは即ち、先生方が試験前に「問題」を授業で説明をしており、当たり前のように、試験では「問題」を先生達が考えて、出してくれています。

 それに比べてテニスではどうか?

 「なぜ負けたか?」「なぜうまくいかないのか?」これらの問題は、ただ練習やトレーニングに取り組んでいれば解決する事なのか?もちろんそういう時もあるでしょう。しかし、選手自身が、この「なぜ?」という事を考えるようにしなければ、例えば敗戦後、「負けた」という事だけで終わってしまいます。負けたという事は、負けた理由があるという事。それは即ち、選手としての問題や課題があるという事。「問題」を「問題」として捉える事ができているか?という事になります。

 テニスのみならず、スポーツ全般に言えますが、所謂スポーツの”絶対的教科書”というものはないと思っています。選手個人個人スポーツの目標やゴール設定、身体の個性。スポーツに対するイメージ等で、やるべき課題が変わるからです。「なぜ負けたのか?」。同じ負けを経験した選手同士でも、その「なぜ?」を問題提起し、「問題」を「問題」として捉えることができるかどうかで、その後の成長に大きな差があると感じています。

 良くも悪くもコーチとしてコートに立っていると、選手達にアドバイスをします。しかしそれが、彼らに「考える時間」「問題を自分で解決する力・機会」を奪っているのでは?と、時に思ってしまいます。そう思ってしまう時の一つが、問題を捉える事が出来ている選手と、そうでない選手は、聞いてくる質問が違う時です。
 
 例えば、最近のはち庭でのテーマはニュートラルラリー。「ニュートラルラリーの展開後、前に仕掛ける時のタイミングが分かりません」と聞かれる場合と、「ニュートラルラリーは良くなってきたが、その後どうすれば良いですか?」。同じニュートラルラリーの課題に取り組んでも、「その後にすべき事」まで考えている選手と、そうでない選手との質問には、このような差が生まれます。もちろん、ニュートラルラリー後の様々な展開を教える事は可能ですが、出来ればそれを質問してくると同時に、「ニュートラルラリー後の展開を考えた上で、どのようにニュートラルラリーを組み立てるべきか?」「その後の得意パターンや、自分が展開したいパターンとは?」という所まで問題を広げ、練習やトレーニングに取り組むように選手達を促していきたい。

 ”問題の答え”を教えるだけでなく、日々起こる事象を「問題」として捉える考え方。これを選手達が当たり前のようにやるように促す事ができれば、ますます選手達の成長スピードが上がるはず!!そうする事がコーチとしても私の「問題」ですね^^

筆者情報

プロテニストレーナー&テニスコーチ

菅尾 祐助

小学生からテニスを始める。高校卒業後渡米し、アスレティックトレーニングを学ぶ。帰国後、菅尾アスレティックトレーニングセンター(S.A.T.C)を設立し、アスリートやスポーツ愛好家の怪我やリハビリ、トレーニング、コンディショニング等をサポート。また、はちおうじ庭球塾(八王子テニススクール)にて、ジュニア育成に従事。

怪我やトレーニング、テニスサポートのご相談はS.A.T.Cまで。
ジュニア育成は、はちおうじ庭球塾まで。
お問い合わせはこちらから。

(株)S.AT.C 代表取締役
テニスメディカルトレーニングラボ(TMTL) 代表
はちおうじ庭球塾 塾長
特定非営利活動法人スポーツライフネットワーク 代表理事
鈴木慶やすらぎクリニック アスレティックトレーナー
境界なきアスリートサポート 共同代表

米国公認アスレティックトレーナー (NATA-ATC)
米国公認ストレングスコンディショニングスペシャリスト (NSCA-CSCS)
インターナショナルテニスパフォーマンス協会公認
テニスパフォーマンススペシャリスト (ITPA-CTPS)
アメリカプロテニス協会公認 プロフェッショナルテニスコーチ
アスレティックトレーニング修士 (MS)

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