2019.11.25
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テニスメディカルトレーニングラボ
テニスメディカルトレーニングラボ(以下:TMTL)では、
テニス選手に必要なトレーニングや怪我等の情報を中心に、
分かりやすくお届けしています!!
TMTLとは?
TMTLでは、テニスコーチでありアスレティックトレーナーでもある筆者が、テニス情報を発信しています。医学的に裏付けられた情報だけでなく、経験談や主観的意見等も発信しています。
TMTLの特徴
テニスのみならずアスリートがその道で戦い、勝つ為には、技術練習だけでは不十分です。テニス界ではトッププロに限られますが、様々な専門家を“チーム”として招聘しています。主な役割として、技術スキルや全般的に選手をサポートし管理するコーチ。フィジカルトレーニングを主に担当するストレングス&コンディショニングトレーナー。ドクター。怪我や日々のコンディショニングをサポートする、アスレティックトレーナーックトレーナーや治療家。加えて、栄養士やメンタルトレーナーを付ける選手も増えてきています。さらに、テニスにおいては情報分析するアナリスト。道具も大きな要素ですから、スポーツメーカーやストリンガー。などなどサポートする専門家は多岐に渡ります。
TMTLでは、主にフィジカルトレーニングや怪我のサポートを中心にまとめています。またテニススキルに関しては、コーチ目線だけでなく、トレーナー、すなわち“身体の使い方”目線からテニススキルを紐解いていきます。
2019.11.25
前提として、筋力は必要です。筋力トレーニングの勧めもするし、メニューを作り、指導もします。ただ、今回のテーマは「力の発揮」です。
知り合いのテニスコーチから「ジュニア達に腕立て伏せを指示したら、全員できなかった。なんでだ?」と、相談を受けました。腕立て伏せは、体幹や肩周りの筋力がある程度強くないとできないトレーニングではあります。しかし、筋力が足りず腕立て伏せが出来ない訳ではないケースもあります。それが「力の発揮」です。要は、力の入れ方が分かっていない事で、本来の力を使えていないのです。
拳をぐっと握ってみてください。握る動作は、前腕部(肘と手首までの部分)、主に外側(親指側)の筋肉が主に使われています。拳を握る、要は握力となる動作は、テニスのみならず、日常動作でよく使う「力の発揮」なので、多くの人が問題なくできます。それでは、今度はお腹に力を入れ、腹筋を硬くしてください。できておりますでしょうか?!これに関しては、できない人もいるはず。できない人は、腹筋が弱いのではなく、腹筋に力を入れる事、即ち腹筋の「力の発揮」がうまくできていないのです。このような場合、腹筋のトレーニングを行っても、腹筋が十分に使われず、鍛えるどころか、逆に腰などを痛めてしまう可能性があります。強い弱い、ではなく、使えるか使えないか。力が発揮できるか、できないかです。
腕立て伏せでは、主に肩・胸・体幹の筋肉が力を発揮する事で可能となります。ある程度の筋力がないとできませんが、力の発揮を教えるとできるケースが多々あります。「力の発揮」を考える時に難しいのが、原因がケースバイケースという事。例えば、腕立て伏せをした時、胸の部分が先に上がり、後からお腹・お尻の部分が上がる場合。これは腹筋を中心とした体幹部がうまく使えていない状態。同じ腕立て伏せでも、下から上にあげられない場合と、上から下に下がる時に、支えられず、崩れてしまうケース。同じ「力の発揮がうまくできず、腕立て伏せが出来ない」という場合でも、原因によって対処が変わります。
今回伝えたい事は、「筋力が足りずにできない」、と誤った思い込みが多いという事です。そう思い込んでいる人の場合、おそらく頑張って筋力トレーニングに励むと思います。「力の発揮」ができない場合は、必要なのは筋力トレーニングではなく、「力の発揮」の練習です。「力の発揮」が効率よく使えず、腕立て伏せのような動作を行った場合、「代償動作」といって、本来動かなければいけない場所で動かず、他の場所が動いてしまう、という事もあります。
これをヒントにテニスを考えてみてください。ストローク、ボレー、スマッシュ、サーブ。打点時に効率の良い「力の発揮」がなされ、ボールに力が伝わることで、ボールの質は格段に変わるはずです。テニスのみならず、他のスポーツでも、所謂一流選手の動きを見ていると、とても力んでいるように見えません。力を抜いているように見えて、必要な分だけ効率的な力が伝わっているのです。
「力の発揮」を習得するには、まず、筋力の強い弱いではないという事を認識する事。そして、何が原因で「力の発揮」が行われていないのかを判断する。もしくは専門家(コーチやトレーナーなど)のアドバイスをもらう事。それが分かり修正した後、「反復練習」という流れになります。自身の動画や写真を撮り、客観的に見る事で、分かる事もあります。是非、何かできない事を「筋肉がない為だ」と思い込み、誤った方向に考えを持たないよう、気を付けてください。